アジャイルの回転を、あなたから始めよう
組織を芯から
アジャイルにする
好評発売中
#シンアジャイル
イントロダクション
本書は、ソフトウェア開発におけるアジャイルのエッセンスを、「組織づくり・組織変革」に適用するための指南書です。ソフトウェア開発の現場で試行錯誤を繰り返しながら培われてきたアジャイルの本質的価値、すなわち「探索」と「適応」のためのすべを、DX推進部署や情報システム部門の方のみならず、非エンジニア/非IT系の職種の方にもわかりやすく解説しています。アジャイル推進・DX支援を日本のさまざまな企業で手掛けてきた著者による、〈組織アジャイル〉の実践知が詰まった一冊です。
アジャイルの本質には「探索」と「適応」がある。わからないこと、わかっていない状況から目をそらすことなく、わからないからこそ少しずつ「探索」的に仕事を進める。そうした実践によって得られる学びでもって、その後の判断や行動を変えていくようにする(「適応」と呼ぶ)。そうした仕事のやりようを繰り返し、反復的に行う。
この本は「アジャイル」をどのように現代組織に適用していくのか、その取り組みについて語り明かすものである。
価値もしくは意味のある仕事をしたい、自分の手掛ける仕事に価値や意味を込めたい、そう思うすべての人たちに本書を贈りたい。組織がこれまでの認識から踏み出し、新たな探索と適応を得ていくには、皆さんの意志が必要となる。組織は変わることができるのか?その回答を、皆さんとともに本書の中で辿っていきたい。
本書「イントロダクション」より抜粋
「組織アジャイル」4つの価値観
ソフトウェア開発の分野に変革をもたらしたアジャイル。「アジャイルソフトウェア開発宣言」では、次の4つの価値観が示されました。
- プロセスやツールよりも個人と対話を
- 包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを
- 契約交渉よりも顧客との協調を
- 計画に従うことよりも変化への対応を
本書では、このアジャイルの価値観を組織変革に生かす「組織アジャイル」の価値観としてチューニングし、以下のことがらに価値を置いています。そして、この4項目こそが本書のエッセンスとなっています。
- 最適化に従うことよりも探索と適応を
- これまでの前提や判断基準よりも他者との間で新たに得られた関係や可能性を
- 固定化した文章よりも利用ができるアウトプットを
- プロセス、ツールよりも個人との対話を、そしてそこから生まれる互いへの関心を
組織の芯からアジャイルを宿す26の作戦
もうひとつ、本書のエッセンスとして、重要なキーワードを含む26の作戦をここに列挙します。本書では全5章を通じてこれらの作戦を詳解し、組織の変革への道を指し示します。
- 2つの変革を同時に取り組む(両利きの変革)
- 3つの最適化の「呪縛」を捉え直す
- 組織は戦略に従い、戦略は意図に従う
- 手元から始める、一人から始める
- 組織を「一人の人間」のように見立てる
- 探索と適応と最適化を周回する
- はじめるよりやめるほうを先立たせる
- バックログでチームの「脳内」を表す
- 「重ね合わせ」「ふりかえり」「むきなおり」の段階をたどる
- 同時に取り組む課題を一つに絞る「一個流し」
- 組織アジャイルの成熟度を測る
- 動的な動きを捉えるために仕組みも動的にする
- 関心を共通の意図によって近接させる
- 心臓のようにリズムを作ることで、血(関心)を組織に通わせることができる
- 組織アジャイル適用7つの原則
- アジャイルCoEの8つのバックログ
- 組織アジャイルの経験を問う5つの質問
- 具体的経験から概念化を得る「ものわかり」
- アジャイルの回転を再帰的に構造化する「フラクタル・アジャイル」
- ミドルの回転(マネジメント・アジャイル)4つの方針
- ゴールの連鎖と、適応の連鎖を繋ぐ
- OODAのO2(情勢への適応)を組織内で合わせる
- スプリントの数だけ、変わるチャンスを手にする
- 反復の刻みと解像度の調整(組織アジャイルの2つのかなめ)
- 組織アジャイルで働かせる2つのちから「求心力と遠心力」
- 組織アジャイルの4つの価値観
もくじ
- 第1章 われわれが今いる場所はどこか
- どうすれば組織を変えられるのか
- 組織が挑むDXの本質
- 組織の形態変化を阻むもの
- 第2章 日本の組織を縛り続けるもの
- 「最適化」という名の呪縛
- 目的を問い直す
- アジャイルという福音
- 組織はアジャイル開発の夢を見るか
- 第3章 自分の手元からアジャイルにする
- どこでアジャイルを始めるのか
- 組織アジャイルとは何か
- 組織アジャイルの段階的進化
- 第4章 組織とは「組織」によってできている
- 最適化組織 対 探索適応組織
- 四面最適化、時利あらず
- 血があつい鉄道ならば走りぬけてゆく汽車はいつか心臓を通るだろう
- 第5章 組織を芯からアジャイルにする
- 組織の中でアジャイルを延ばす
- 組織をアジャイルの回転に巻き込む
- 組織の芯はどこにあるのか
各章のあらまし
第1章 われわれが今いる場所はどこか
第1章では、私たちの組織が今いる場所がどこなのかを確認します。
なぜいま私たちは変わらなければならないのか、これから取り組むべきDX(デジタル・トランスフォーメーション)とはなにか。そして、差し当たって目に見える、変化を阻む壁はなんなのか。これらを紐解きながら現状を理解・咀嚼するところから、私たちの旅は始まります。
第2章 日本の組織を縛り続けるもの
第1章の内容をうけて、つづく第2章では私たちの組織を呪縛しているものの正体を解き明かします。私たちを縛る「3つの最適化」の呪縛、組織が頑なに守ろうとする陳腐化した意図による現場の疲弊、そしてソフトウェア開発の世界において福音となったアジャイルと、これを組織に適用するときの現実を紐解くことで、私たちが立ち向かうべきものの本質を捉えます。
第3章 自分の手元からアジャイルにする
いよいよ第3章ではアジャイルの実践に踏み込みます。ただし、最初から組織でアジャイルに取り組むのではなく、個人・チーム・部署といった小さな単位での取り組みから見ていきます。「組織アジャイル」とは何かを定義し、取り組みへの入口となる「重ね合わせ」「ふりかえり」「むきなおり」について学び、まずは小さな輪の中で、どのように探索と適応のサイクルを回すのか、その手段を見つけます。
第4章 組織とは「組織」によってできている
第4章では小さな単位でのアジャイルの実践を組織全体に広げていくにあたって直面する、さまざまな「壁」を描き出していきます。「最適化の番人との衝突」「意図・方針・実行の分断」そして「関心の喪失」……。これらのキーワードを基に組織アジャイルが行き当たる困難を詳解するとともに、わたしたちが属する「組織」というものの「芯」にも迫っていきます。
第5章 組織を芯からアジャイルにする
最後の章となる第5章では、第4章で示した壁を乗り越えるための「組織アジャイル」の実践と考え方について語り尽くします。トップ層・ミドル層・ボトム層それぞれの分断を解消し、組織全体でアジャイルを回転させるために、私たちがなすべきこと、知っておくべきことを学びます。
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“組織を芯からアジャイルにする”
著者プロフィール
市谷 聡啓 / Toshihiro Ichitani
株式会社レッドジャーニー 代表 / 元政府CIO補佐官 / DevLOVE オーガナイザー
サービスや事業についてのアイデア段階の構想から、コンセプトを練り上げていく仮説検証とアジャイル開発の運営について経験が厚い。プログラマーからキャリアをスタートし、SIerでのプロジェクトマネジメント、大規模インターネットサービスのプロデューサー、アジャイル開発の実践を経て、ギルドワークスを立ち上げる。それぞれの局面から得られた実践知で、ソフトウェアの共創に辿り着くべく越境し続けている。
訳書に「リーン開発の現場」、おもな著書に「デジタルトランスフォーメーション・ジャーニー」「カイゼン・ジャーニー」「正しいものを正しくつくる」「チーム・ジャーニー」「いちばんやさしいアジャイル開発の教本」がある。
組織を芯からアジャイルにする
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市谷 聡啓 著 / ビー・エヌ・エヌ新社 刊
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